近年ではウェルビーイングの概念は,より主観的な側面,すなわち「その人が自分の人生にどれだけ満足しているか」や「日々の生活の中でどれだけ意味や幸福を感じているか」といった点に重きが置かれるようになっています。
OECDのウェルビーイングフレームワーク
OECD(経済協力開発機構)は,Well-beingを「現在のWell-being」と「将来のWell-beingのための資源」に分けて,それぞれな主要な領域があるのかと,どのように測れるかについてまとめています。
https://www.oecd.org/en/topics/policy-issues/well-being-and-beyond-gdp.html#well-being-framework

日本語版の出所:https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/079_231129.html
「現在のWell-being」の主要な領域
- 所得と富
- 雇用と仕事の質
- 住宅
- 健康状態
- 知識と技能
- 環境の質
- 主観的幸福
- 安全
- 仕事と生活のバランス
- 社会とのつながり
- 市民参画
ここで注目すべきなのは,「Subjective Well-being=主観的幸福」と訳出されていることです。また,これらの領域は,OECDなどが定義する「生活の質(quality of life)」の包括的枠組みに基づいています。
https://www.oecd.org/en/topics/measuring-well-being-and-progress.html
「将来のWell-beingのための資源」の主要な領域
- 自然資本
- 経済資本
- 人的資本
- 社会関係資本
すべての領域を満たす必要はない
ただし,これらすべてを完全に満たす必要はありません。以下に理由と補足を解説します。
個人差があるから
人によって重視する領域は異なります。例えば,「仕事と生活のバランス(Work-Life Balance)」を最重視する人もいれば,「所得と富」「知識と技能」を重視する人もいます。
自己決定理論(Self-Determination Theory)や価値観理論(Schwartzの価値理論)でも,個人の価値観や動機は多様であるとされています。
時期によって優先順位が変わるから
ライフステージごとに重視されるものが変わります。
トレードオフが避けられない場合もあるから
たとえば高収入な職を選べば「生活のバランス」が犠牲になることもあります。すべてを同時に最適化するのは現実的には困難です。
部分的な充足でも全体の幸福度が高まるから
「主観的幸福」は,すべての領域を満たしていなくても,心理的に満たされていれば高くなることがあります。これはSeligmanらのポジティブ心理学の研究で示唆されています。
ウェルビーイングが損なわれやすい領域
以下は,「ウェルビーイングが損なわれやすい」という意味で重要な領域です。他の要素が満たされていても全体的なウェルビーイングは低下しやすくなります。
- 所得と富
- 雇用と仕事の質
- 住宅
- 健康状態
ウェルビーイング向上のための自己理解と優先順位の整理
「今の自分にとってどの領域が重要か」
「どこが満たされていて,どこに不満を感じているか」
「満たせない要素をどう受け入れるか,あるいは代替できるか」
こういった自己理解と優先順位の整理が,自身のウェルビーイング向上にとっては有効です。



