ダイエットとウェルビーイング

会社の健康診断で「肥満気味」と指摘されたり、気に入っていた服がきつくなったりと、多くの人は「やらなきゃ……」と重い腰を上げます。脂っこいものを避け、甘いものを我慢し、ジムに通い始める――その行動は正しいのかもしれません。でも、心のどこかでは「仕方なく」やっている自分がいて、ストレスも募っていきます。

その一方で、同じように食事を見直し、運動を始めていても、それを「心地よい選択」として楽しんでいる人もいます。「今日は彩りのきれいなサラダを選んだ私、なんかいい感じ」「空腹だけど、今脂肪が燃えてる気がする。これは私のからだのリズムだ」と、自分の選択に納得し、自分に優しくできている。結果が出る前から、すでにちょっと嬉しくなっている。

この違いは何でしょうか。

ダイエット=制限?それとも自己ケア?

日本語の「ダイエット」という言葉には「痩せるための努力」「我慢」というニュアンスが強くあります。でも、英語の “diet” は本来「日々の食生活」そのものを指します。つまり、単に体重を減らすことが目的ではなく、自分の生活全体をより快適に、健康的にするという視点が本質なのです。

そしてそれは、まさに「ウェルビーイング(well-being)」の考え方と重なります。ウェルビーイングとは、身体的にも、精神的にも、社会的にも良好な状態を意味します。単に「体重計の数字が減った」だけではなく、「よく眠れて、気分も安定していて、人との関係も良い」といった、全体的な満足感や幸福感に関わる概念です。

「しなきゃいけない」よりも「そうしたい」

「このままでは生活習慣病になりますよ」と医師に言われて始めた運動も、それを「健康に投資している時間」と前向きに捉えられたなら、ずっと続けやすくなります。嫌々食べるサラダではなく、「このサラダ、肌に良さそう」「ビタミン豊富で脳も喜ぶかも」と思いながら食べるサラダは、同じ野菜でも感じ方が全然違います。

人は「義務感」よりも「自己決定感」があるときのほうが、行動を持続しやすいという研究もあります(Deci & Ryan, 2000, Self-Determination Theory)。「自分で選んでいる」という感覚は、ウェルビーイングの根っこにあるのです。

「痩せる」ではなく「整える」

体型が変わることは、あくまで結果。むしろ、「生活が整ってきたな」「自分を大切にできているな」という実感こそが、ダイエットの本当のごほうびなのかもしれません。空腹を「不快なもの」として我慢するのではなく、「今、体が変わろうとしている合図だ」と受け取る心の持ち方が変わると、それ自体がポジティブな体験になります。

「自分の心と体をチューニングしていく」こと。それが、ダイエットとウェルビーイングをつなぐキーワードです。

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