ISOと聞くと,セキュリティのルールのこと?と思う人も多いはずです。情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格、ISO/IEC 27001は有名です。
実は,ウェルビーイングのISO基準が2024年11月12日に発行されていたこと,しかも日本が中心となってISO化を進め,ISO25554としてウェルビーイングのガイドラインが発行されていたことはご存じでしょうか。
産総研
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2024/pr20241209/pr20241209.html
日本規格協会
https://webdesk.jsa.or.jp/common/W10K0620?id=1358
ウェルビーイングのISO化を目指した経緯
高齢化が進むなか,ウェルビーイングの維持・向上が世界的に重視されるようになってきました。なかでも日本は高齢化の先進国であり,従業員への健康投資を行う健康経営※など,さまざまな施策が推進されてきました。(※「健康経営」はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。)
そこで経済産業省は日本の健康経営の海外輸出を目指し,ウェルビーイングの国際規格化を目指し,2019年に一般財団法人社会的健康戦略研究所にISO化,国際基準化を業務委託しました。
さらに,科学技術研究でおなじみの国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研),JIS規格などでおなじみの日本規格協会(JSA)が中心となり,世界の専門家と企画の開発を進めました。
なぜ日本が主導したのか
ウェルビーイングは外国のもののように感じますが,日本が進めることになったのでしょうか。日本には次のようなアドバンテージがありました。
日本では健康経営が浸透してきていた
2019年の健康経営優良法人認定数は,大規模法人部門が821法人,中小規模法人部門が2503法人でした。まだ認定を受けていなくても,多くの企業が認定を目指していたのではないでしょうか。
https://kenkokaigi-data.jp/news/2019/02/000224.html
ちなみに2025年は,大規模法人部門が3,400法人、中小規模法人部門が19,796法人と,健康経営優良法人の認定は大きな広がりを見せています。
https://2025.kenkokaigi.jp/news/n040
日本には健康データの蓄積があった
乳幼児健診,児童・学生の健診,妊婦検診,労働安全衛生法で義務付けられた定期健診(法定健診)など,日本に住んでいれば健診・検診を受ける機会はいくらでもあります。知能テストなども子供の頃に受けたのではないでしょうか。予防接種の履歴とその後の罹患など,健康保険証(マイナ保険証)があることで,データの紐づけも容易です。
2015年12月からは,職場ではストレスチェックの実施が義務化されました。50人以上が働く職場の方は受けたことがあるのではないでしょうか。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_mental_0003.html
ストレスチェックの回答だけでなく,実際の欠勤日数や健診データとの紐づけもできるため,ストレスを総合的に分析できるようになっています。
日本人は健康に興味があった
冬になるとインフルエンザにかかりたくないのでマスクをする人が多いのではないでしょうか。また健康のために食事に気を配ったり,自主的に運動をしたり,サプリを飲んだりする人も多くいます。このような傾向に便乗して,健康に関するサービスを提供する事業者も多くいます。
特にコロナ禍を思い出してみると,日本と海外ではだいぶ違っていたと感じませんでしたか。マスクをしたり,自主的に活動を自粛するなどの動きがありました。強制的な自粛でもそれに従うなど,外国と比べると違いは顕著でした。コロナウィルスにかかりたくないから我慢ができていた人も多いのではないでしょうか。



