産総研とJSAがウェルビーイングのISO化を進めた理由

日本がウェルビーイングのISO化を進めるにあたり,そのアドバンテージとして健康経営が浸透していることが挙げられていました。だとすれば,「健康経営を登録商標として持つNPO法人健康経営研究会がISO化を推進すべきでは?」と思う方もいるでしょう。ではどうして,産総研とJSAだったのでしょうか。

学術的中立性と国際的信頼性

ISO(国際標準化機構)による規格化は,商標や利益団体の影響を受けにくい中立的で科学的な立場が強く求められます。

NPO法人健康経営研究会は「健康経営」という登録商標を持ち,企業への普及活動やビジネス支援も行っています。こうした団体が規格化を主導すると,利益を誘導しようとしているのではないかと見なされる可能性があります。

一方,産総研とJSAは,技術的中立性・信頼性を持ち,国際的に認知された標準化の実績が豊富です。

多分野統合的な知見と体系的アプローチ

ウェルビーイングは経営だけでなく,心理的,医学的,社会的側面も含む幅広い概念となります。

産総研は心理学,医学,社会科学,工学といった分野横断的な研究機関であり,横断的にエビデンスを統合できる体制を持っています。日本規格協会(JSA)はJIS規格での豊富な標準化経験と,ISOとの連携実績があるため,交渉や文書作成の実務的な面で不可欠な存在です。

このような体制を取ることで,規格作成における網羅性や国際的妥当性を確保しやすいと考えられます。

健康経営研究会の役割は「普及と実装」

健康経営研究会の主たる活動は,企業への実装支援・普及啓発・優良法人認定など,規格をどう活かすかの実務支援です。ISO化はその「前段階」であるため,役割の違いと整理されたと考えられます。

結論

健康経営研究会がISO化の推進団体として表に出なかったのは,利益相反の懸念や専門性の範囲を超える部分があったためと推測されます。国際規格化という国家戦略の一環として,中立性・学術性・網羅性の観点から産総研・JSAが適任とされたのでしょう。

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